桜花賞を動画とともに振り返ります

≪桜花賞レースガイド≫

 今週は阪神競馬場で牝馬クラシック第1弾・桜花賞(12日、GI、芝1600メートル)が行われる。過去10年で関西馬の7勝に対して関東馬は3勝と西高東低ムードだったが、今年は東高西低ムード。2歳女王ショウナンアデラ(美浦・二ノ宮敬宇厩舎)の骨折による戦線離脱は惜しまれるが、それでも関東に多数の有力馬がそろった。

 最有力候補はルージュバック(美浦・大竹正博厩舎)。新馬戦-百日草特別(レコードV)を連勝して臨んだきさらぎ賞は、初の関西地区への長距離輸送、右回りと初物尽くしだったが、3番手から鋭く伸びて2着ポルトドートウィユに2馬身差をつけて完勝した。今回は初のマイル戦となるが、瞬発力だけでなく、レースセンスも優れており、土付かずの4連勝を飾りそうだ。管理する大竹調教師はGI初制覇のチャンス。ブリーダーズCディスタフを勝った母ジンジャーパンチという血脈もビッグタイトルにふさわしい。

 最重要トライアルのチューリップ賞を制したのはココロノアイ(美浦・尾関知人厩舎)。阪神ジュベナイルフィリーズ3着以来、3カ月ぶりの実戦だったが、外から鋭く伸びてアルテミスSに次ぐ重賞2勝目をマークした。阪神に実績を残しているのは強みで、名手、横山典弘騎手が手の内に入れている点も心強い。3代母である2冠牝馬マックスビューティが、唯一遺した牝馬が祖母のマックスジョリー(桜花賞、オークス3着)であり、そのマックスジョリーにとっても唯一の産駒となったのが母のビューティソング。名牝の血が一本の糸で後世に伝わってきた点からも、魅力の大きな存在だ。

 同じくトライアルのフィリーズレビューはクイーンズリング(栗東・吉村圭司厩舎)が制して、ルージュバック同様、3戦全勝とした。スタートで後手に回ったが、大外一気という豪快な内容での勝利。1600メートル、1800メートルで勝ち鞍を挙げており、1ハロンの距離延長はプラスだろう。ミルコ・デムーロ騎手は「桜花賞を勝ちたい」と気合が入っている。開業4年目の吉村調教師は、前走のフィリーズレビューが重賞初V。勢いに乗って初のGI制覇を狙う。

 クイーンCの覇者キャットコイン(美浦・二ノ宮敬宇厩舎)も3戦無敗で、勝ち鞍はすべてマイル戦。僚馬ショウナンアデラのぶんまで期待がかかる。今回はココロノアイとともに栗東に滞在して調整されており、環境にもなじんでいる様子。爆発力のあるステイゴールド牝馬で、繊細な面は残っているが、未知の魅力も秘めている。コンビを組むベテラン柴田善臣騎手は意外にもクラシックレースは未勝利。ゼンノロブロイをおじに持つ良血馬で悲願達成となるか。

 阪神JF2着馬レッツゴードンキ(栗東・梅田智之厩舎)は今年の始動戦となったチューリップ賞で3着。新馬勝ち後はいずれも重賞で3、2、2、3着と抜群の安定感がある。叩かれて確実に良化しており、ここも上位争いが有力だ。

 ディープインパクト産駒は、初年度産駒から桜花賞を4連勝中。今年は7頭が登録している。テンダリーヴォイス(美浦・萩原清厩舎)は関東でのトライアル・アネモネSを勝っての挑戦。関西へは初めての遠征となるが、自在性のある脚質でキャリアを積み重ねてきた。父ディープ、母の父キングカメハメハ、祖母がブロードアピールという“金子真人ブランド”の血統馬。この馬も関東優勢の一翼をになっている。

 ディープ産駒らしく、クラシックを前にしてぐんぐん地力をつけてきたのがチューリップ賞2着のアンドリエッテ(栗東・牧田和弥厩舎)だ。馬体を減らしたクイーンCでは4着にとどまったが、きっちりケアして臨んだ前走は鋭い末脚で能力の高さをアピールした。デビューから全レースで騎乗している川田将雅騎手は、昨年のハープスターに続く連覇がかかる。

 抽選対象(6日現在2/3)だが、ミッキークイーン(栗東・池江泰寿厩舎)も出走できれば面白い。関東に初遠征したクイーンCは、マイナス20キロという誤算がありながらも2着を確保。1歳時のセレクトセールでは牝馬ながら1億500万円(税込み)の値が付いた期待馬にとって2カ月ぶりの実戦となるが、軽視は禁物だ。

 良馬場で見直したいクルミナル(栗東・須貝尚介厩舎)、クリストフ・ルメール騎手とのコンビが魅力のコンテッサトゥーレ(栗東・安田隆行厩舎)もディープインパクト産駒の血統馬で侮れない。安定感のあるムーンエクスプレス(栗東・鈴木孝志厩舎)や、決め手鋭いペルフィカ(栗東・岡田稲男厩舎)も展開ひとつで台頭の余地がありそうだ。無敗馬たちに注目が集まるが、まさに百花繚乱(りょうらん)の顔ぶれ。例年以上の好レースとなるのは必至だ。

 
 2014年-桜花賞
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